悩み相談から、語りえぬものまで──人生と向き合う、繊細な哲学。
永井 均
哲学の密かな闘い
2013年3月12日刊行 B6変型判・380頁
本体価格2400円 ISBN978-4-906791-12-5
なぜ人を殺してはいけないのか、自殺を思いとどまる理由はあるのか。若い世代の真率な問いと、あの「〈私〉の形而上学」の哲学者が全体重をかけて対決した、21世紀の哲学論集。
この世界には、隠されている秘密があり、「当たり前の世界像」の根っこをハンマーで打ち砕けば、発見に満ちた現実が立ち現れる。
子どもたちの疑問に答えることは、「なぜ世界は存在するのか」を精密に考える哲学と同根・同レヴェルだ。哲学することは、闘うこと。
目次
0 人生
▶悩みのレッスン ▶主客再逆転の秘義
Ⅰ 自己 ▶主客逆転の問題からの再考
第1章 科学的には解明できない〈私〉の存在 ▶道徳の腹話術
第2章 自己という概念に含まれている矛盾 Ⅲ 存在
▶〈私〉と〈今〉 第5章 現実性について
▶翔太と由美の修学旅行 第6章 なぜ世界は存在するのか
Ⅱ 倫理 ▶過去はどこに行っちゃったの?
第3章 ニヒリズムとしての哲学 ▶神が存在する/しないことの意味
第4章 馬鹿げたことは理にかなっている Ⅳ 言語
▶「なぜ人を殺してはいけないのか」という 第7章 語りえぬものを示す(1)
問いは哲学的な問いか 第8章 語りえぬものを示す(2)
▶哲学的対決はいかになされるべきか
著者紹介
永井 均
1951年生まれ. 専攻, 哲学・倫理学. 慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位所得. 現在, 日本大学文理学部教授. 著作: 『倫理とは何か──猫のインサイトの挑戦』(産業図書, のちちくま学芸文庫), 『私・今・そして神──開闢の哲学』(講談社現代新書), 『西田幾多郎──〈絶対無〉とは何か』(NHK出版), 『なぜ意識は実在しないのか』(岩波書店), 『ウィトゲンシュタインの誤診──『青色本』を掘り崩す』(ナカニシヤ出版)ほかがある.