3・11以後と宗教──聖書に秘められた「生きるためのヒント」を掘る。
荒井 献・本田哲郎・高橋哲哉
3・11以後とキリスト教
2013年3月25刊行四六判・230頁
本体価格1800円 ISBN978-4-906791-13-2
東日本大震災と原発事故は、私たちを深い問いの前に立たせた。
足元が揺らぎ、世界像が崩れ去ったこの時代に、宗教はどんなメッセージを発することができるのか。
批判的聖書学の立場から、釜ケ崎で20年の救援活動の経験から、そしてキリスト教の新しい解釈可能性を探る哲学の位置から、聖書を掘る。
死とは何か、死者たちとは誰なのか、試練とは慰めとは何か、そして黒い海に流された人びとにとって、神とは何でありえたのか。
目次
はじめに 3・11以後 高橋哲哉
Ⅰ そこが知りたい 聖書への九つの問い
1 小さくされた人びとから 回答者 本田哲郎
アンソロジー どう読むか 聖書
2 弱さを絆に 回答者 荒井 献
アンソロジー どう読むか 聖書
Ⅱ 討議 3・11以後とキリスト教
荒井 献・本田哲郎・高橋哲哉
1 天罰という考え方
2 与えられてあるいのち
対話を終えて 荒井 献・本田哲郎
著者紹介
荒井 献(あらい・ささぐ)
1930年生まれ. 専攻, 新約聖書学. 東京大学・恵泉女学園大学名誉教授. 岩波版『新約聖書』(2004)の編集委員を務める. 著作に, 『聖書のなかの差別と共生』(1999), 『初期キリスト教の霊性──宣教・女性・異端』(2009), 著作集全10巻別巻1(2001-2002)ほかがある.
本田哲郎(ほんだ・てつろう)
1942年生まれ. フランシスコ会司祭. 89年より現在まで23年にわたって, 大阪釜ケ崎にて, 日雇労働者に学びつつ聖書を読み直す. 聖書の個人訳(2000〜 )のほか,著作に『釜ケ崎と福音──神は貧しく小さくされた者と共に』(2006), 『聖書を発見する』(2010)などがある.
高橋哲哉(たかはし・てつや)
1956年生まれ. 専攻, 哲学. 現在, 東京大学大学院総合文化研究科教授. 著作に, 『記憶のエチカ──戦争・哲学・アウシュヴィッツ』(1995),『戦後責任論』(1999),『靖国問題』(2005), 『犠牲のシステム 福島・沖縄』(2012),『いのちと責任』(2012,高史明との共著)ほかがある.