精神史のもう一つの文脈、懐疑論から
レトリックへ──思想史三部作第2弾
坂口ふみ
人でつむぐ思想史Ⅱ
ゴルギアスからキケロヘ
2013年7月24日刊行 四六判・244頁
本体価格2500円 ISBN978-4-906791-06-4
■ ひとの驚きと喜び、傷みと悲しみから、思想史を読み直す──人でつむぐ思想史。悪名高いソフィスト、ゴルギアスから、政治闘争の渦中を生きたローマの弁論家キケロへ。
■ 言葉と論理、この虚妄なるもの──一方は、言葉の幻なるがゆえの自由さを愛し、他方は、人の心をとらえ、政治を動かす言論の力を讃美した。この両者をつなぐものに、真理探求の道とは異なる、もう一つの精神の態度を読み解く。
■ むしろ東方的な思考の伝統に近い、言葉の危うさと説得の力への愛は、超越的な真理に基礎づけられた理性の立場の陰で、近代以降どのような思想の地下水脈となったのだろうか。
続刊 人でつむぐ思想史Ⅲ ボエティウス 2015年秋刊行予定
目次
はじめに スペインの夏 |
序章 幻を愛する人たち |
Ⅰ ゴルギアス |
第1章 レトリックの古層 |
第2章 レトリック礼賛 |
Ⅱ キケロ |
第1章 人間の顔をした認識論 |
第2章 途上の思想 |
第3章『弁論家について』と普遍的教養 |
終章 レトリックと懐疑論についてのスケッチ |
著者紹介
坂口ふみ
1933年生まれ.。東京大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化修士課程修了。ミュンヘン大学にてPh.D取得。現在、東北大学名誉教授。著作:『西洋思想のあゆみ』Sシリーズ(共著、1993)、『〈個〉の誕生──キリスト教教理をつくった人びと』(1996)、『「私」の考古学』宗教への問い3(編著、2000)、『信の構造──キリスト教の愛の教理とそのゆくえ』(2008)、『天使とボナヴェントゥラ──ヨーロッパ13世紀の思想劇』(2009)、『人でつむぐ思想史Ⅱ ヘラクレイトスの仲間たち』(2012)。