新しい解釈の冒険──モーツァルトの調べに隠された秘密に迫る
坂口昌明
《魔笛》の神話学
われらの隣人、モーツアルト
2013年10月22日刊行 四六判・上製 240頁
本体価格2700円 ISBN978-4-906791-20-0
■ オペラ《魔笛》には、いまだに定まった解釈がない。筋のねじれや不思議な登場人物たち──言葉の追いつかない音楽の美しさと物語の謎とを探って、神話の海への旅に出る。
■ 夜の女王とザラストロとの関係とは何か。王子タミーノとパミーナ、鳥人パパゲーノとパパゲーナ、そして三人の童子……これらの像の起源とは何か。《魔笛》解釈の冒険とモーツァルトへの讃歌。
■ 《魔笛》理解の破天荒な新説を打ちだす! 《魔笛》のストーリーには矛盾も裂け目もない。ヨーロッパとオリエントにまたがる神話物語から自在に材をとって編み上げたタペストリー、その分厚い物語の層のすべては一点に向けて配置されている、再生への祈りでもある「愛の開示」という消尽点に向けて。
目次
序 章 《魔笛》とその時代
第一章 タミーノ
第二章 パパゲーノ
第三章 夜の女王
第四章 パミーナ
第五章 魔法の笛
第六章 三人の童子
第七章 魔法昔話としての《魔笛》の構造
第八章 フリーメイスンと《魔笛》
第九章 敗北するザラストロ
終 章 モーツァルトの真実
──《魔笛》の遠近法──
著者紹介
坂口昌明(さかぐち・まさあき)
1933-2011年. 詩人, 文芸評論家, 在野の日本民俗学研究者. 日本語の可能性を拡大する詩人としての精緻な実験とあわせ, 長年、 東北をフィールドとして日本民俗学・説話学上の探求を行う. 著書に, 詩集『旅する椅子』(1965),『一詩人の追求──小山正孝氏の場合』(1987),『モーツァルトの現在』(共著、1991),『みちのくの詩学』(2007), 遺作詩集『月光に花ひらく吹上の 坂口昌明詩集』(2012),『安寿──お岩木様一代記奇譚』(2012)などがある.