「生きよ!」と幽霊さんがつぶやく。物語・大洪水の後に。
司 修
幽霊さん
2014年6月6日刊行四六判・半上製 210頁
本体価格1800円 ISBN978-4-906791-30-9 C0093
■ 大津波とフクシマから生まれた物語。宮澤賢治の震災体験を呼び出し、民俗の記憶に沈む豊饒への祈り、女体からの穀物創成の神話を掘り起こす。命のはじまりの出来事、そこに人の営みの原点があった。
■ 戦後の焼け跡・闇市にうごめく放火魔の快楽、60年代ヒッピーたちに担われた原発立地反対闘争のその後……。いま廃墟から立ち上がること、それは第二の敗戦を生き直すことではなかったか。日本の戦後を貫く、支配と排除の構造を、東北と沖縄・奄美の死者たちの、無念の刃で彫り上げる。
目次
著者紹介
司 修(つかさ・おさむ)
1936年生まれ. 独学で絵を学び, 絵画創作にとどまらず, 絵本の原画, 書籍の装丁, また小説の執筆にと幅広く活躍する. 78年, 『はなのゆびわ』で小学館絵画賞受賞. 小説では, 88年, 「バー螺旋のホステス笑子の周辺」で芥川賞候補. 93年, 「犬」で川端康成文学賞, 2007年, 『ブロンズの地中海』で毎日出版芸術賞, 『本の魔法』で大佛次郎賞受賞. その他, 『戦争と美術』(92), 『賢治の手帳』『イーハトーヴォ幻想』(96),『水墨創世記』(11)などがある.