神学思想の巨人に問う、今日の危機を生き延びる道──本格的な思想論
福嶋 揚
カール・バルト破局のなかの希望
2015年1月23日刊行 A5判・上製 370頁
本体価格6400円
ISBN978-4-906791-40-8 C1014
■ 20世紀初頭、神学・哲学の領域に大きな転換をもたらした潮流の起点となり、西田幾多郎をはじめ、日本の思想界にも強い影響を与え、滝沢克己ら、継承者を生んだ宗教思想。その可能性の中心を、今日に生かそうとする本格的な思想論。
■ 「死から生へ」──この危機の時代を生き抜くための「希望」は、どこにあるのか。ナチス政権下を、抵抗と自由への希求とをもって生き抜いた、一人のキリスト教思想家に問う。死のなかに生を、破局と絶望のなかに希望を見出す逆転のヴィジョン、そこから力を汲んだ思想の秘密を探る。
■ 主著『教会教義学』と正面から向き合い、生涯を賭けた思索の構造をたどり、そのダイナミックな力動を支えた、宗教思想の根幹に迫る。
他宗教や無宗教も含め、キリスト教の外につねに開かれてあること、また人々とともに歴史的な現在の窮状を生きることを願った、変わり続けてやまない思考──そこには教義や原理のシステムに閉じこもることを拒否する、宗教の名による自由の壮大な実験があった。
目次
序 章 死の陰の谷において
―21世紀にバルトを読む
第Ⅰ部 永生と今生のあいだ 第6章 戦争について
第1章 時間と永遠 第7章 人生の一回性について
第2章 聖霊・魂・肉体
第3章 人間の死とキリストの死 第Ⅲ部 正義・和解・未来
──教義学的な死生観 第8章 倫理の源泉としての義認
──バルトとハンス・キュン
第Ⅱ部 人間世界の自己破壊を超えて 第9章 生命の光
第4章 生命への畏敬について 第10章 希望に基づく闘争
─バルトとアルバート・シュヴァイツァー 『教会教義学』の未完の終末論
第5章 自殺について 第11章 バルトの唯一の終末論講義
──バルトと滝沢克己
終 章 死から生へと向かう希望
著者紹介
福嶋 揚(ふくしま よう)
1968年生まれ. 1992年, 東京大学文学部倫理学科卒業. 1997年, 東京大学大学院博士課程単位取得(人文社会系研究科倫理学専攻). テュ―ビンゲン大学福音主義神学部を経て, 2008年, ハイデルベルク大学神学部にて神学博士号(Dr.Theol.)取得. 現在, 青山学院大学, 白百合女子大学, 東京神学大学にて兼任講師.著書:Aus dem Tode das Leben. Eine Untersuchung zu Karl Barths Todes- und Lebensverständnis, Theologischer Verlag Zürich, 2009.『滝沢克己を語る』共著, 春風社, 2010年ほか.
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