健康ブームが見落としているもの──死への備えとしての、生=死の技法
養生訓問答 ──ほんとうの「すこやかさ」とは
中岡成文
3月20日刊行 四六判・並製 210頁
本体1800円 ISBN978-4-906791-43-9 C0012
貝原益軒『養生訓』を多角的に読む。東方の知恵にきく、「すこやか」に生き、そして死ぬための技術とは。食、性、病、介護問題から医療制度まで、人と事例に即した、柔らかな配慮に基づく「精(くわ)しい」ケアのあり方を探す。自分と向き合い、人と向き合うために、何をしてはならないかを確かめる仮想の「養生問答」、そのテーマは……
・ 何のための節制と我慢なのか。
・ 養生のはてにある、大いなる「楽」とはいったい何か。
・ 元気の「気」とはどんなものなのか。
・ 習慣というスタイルをつくる、「小文字」のケアとは。
・ 薬と、いかに付き合うべきか。
・ 「中医」(中程度の医者)がよいというのはほんとうか。
・ 健康は、国家が管理すべきものなのか。
・ 洋の東西で、健康観・死生観・宇宙観はどう違うのか。
目次
プロローグ バトル・イン・養生カフェ
春生の巻
番外篇 死の訪い その一 贈り物としての人生
夏長の巻
番外篇 死の訪い その二 養生の向こう側
秋涼の巻
番外篇 死の訪い その三 死との低声の対話
冬蔵の巻
エピローグ 楽しみと「すこやかさ」と
著者紹介
中岡成文(なかおか・なりふみ)
1950年生まれ. 専攻, 哲学・倫理学. 京都大学大学院文学研究科博士過程満期退学. 2014年, 大阪大学を退職後, 市民たちとともに哲学塾を起こし, 民間での哲学共同研究と, 生活者のなかに根づく思想の掘り起こしを行っている.著書:『ハーバーマス──コミュニケーション行為』現代思想の冒険者たち27(講談社, 1996), 『知のパラドックス』新・哲学講義3(編著, 岩波書店, 98), 『私と出会うための西田幾多郎』(出窓社, 99), 『臨床的理性批判』双書現代の哲学(岩波書店, 2001), 『パラドックスの扉』双書哲学塾(岩波書店, 07), 『試練と成熟──自己変容の哲学』(大阪大学出版会, 12)ほか.