世界戦争とホロコーストの後に倫理の根拠を問う、現代哲学の最前線
超越のエチカ
──ハイデガー・世界戦争・レヴィナス
横地徳広
2015年8月25日刊行 ISBN978-4-906791-48-4 C1012
A5判・上製 350頁 本体6400円
■ 「なぜ人を殺してはならないのか」。アウシュヴィッツの後に、この問いに
答えることは可能だろうか。ハイデガーとその子どもたち、アレント、レヴィナスのはざまに立って、この根本的な倫理を語る根拠を、存在のエチカを据える台座を探す。
■ 実存と共同性、内在と超越、この古代に発し、いまもなお血が流れる問題と正面から取り組む。ナチス的ユートピアは、「決して起きてはならなかったこと」は、なぜ現実のものとなったのか。ハイデガーに至る西欧形而上学の歴史のどこにその端緒があったのか。
■ ハイデガー存在論の最も深い位相をくぐった果てに、世界戦争という今日のアクチュアルな問いを担って、批判的に語り始めようと苦闘した二つの道筋──アレントとレヴィナス。ここに現代哲学の最前線がある。
目次
目 次
序 章 ハイデガーとレヴィナスのあいだで 第6章 凡庸な悪とその日常性
Ⅰ 他者と時間 Ⅳ 近世存在論の超越論的構造
──ハイデガー、レーヴィット、レヴィナス ──人間的構成力の臨界
第1章 レヴィナスのフライブルクへ 第7章 認識論的転回の地平を求めて
第2章 ハイデガーのマールブルクへ 第8章 世界の時間と自由
Ⅱ 役割としての人間 Ⅴ 超越の倫理とレヴィナス
──ハイデガーのカント解釈にそくして ──生き残りの視線
第3章 ホモ・ヌーメノンの実存感情 第9章 感覚の享受、知識の倫理
第4章 道徳的人格性と物在性の交差 第10章 身体とその過去
Ⅲ 第三帝国の存在論 第11章 差異の時間と身体
──アレントのハイデガー批判 第12章 顔の無限と場所の倫理
第5章 ナチス・ドイツの定言命法? 終 章 世界への驚き、たまさかの生存
著者紹介
横地徳広(よこち・のりひろ)
1972年生まれ.
専攻,
倫理学・現象学. 2007年,
東北大学大学院文学研究科博士課程修了(倫理学専修).
博士(文学).
現在,
弘前大学人文学部准教授.
著作:『生きることに責任はあるのか──現象学的倫理学の試み』(共編著,
弘前大学出版会, 2012),
論文:「〈いき〉と時間──九鬼周造試論」(『現象学年報』第27号, 2012),
「アメリカ公民権運動の政治学──スマート・パワーの観点から読み解く」(『戦略研究』第15号, 2015)ほか.