ヒトがサルからもらったもの──サル学が描く原始人類社会のモデル
“ふつう”のサルが語るヒトの起源と進化
中川尚史
2015年11月20日刊行 四六判・状勢16頁
本体2300円ISBN978-4-906791-51-4 C0045
■ ニホンザルの抱擁行動は、サル社会の何を反映しているのでしょうか。自己意識の発生? ヒトとともに長い足に進化したパタスモンキーは、その進化をもたらした条件について、何を語ってくれるのでしょうか。
■ 抱擁を含む接触行動と採食行動、また生育集団から出てゆくワカモノオス・ワカモノメスの行動半径、これらから浮かび上がる初期人類の社会構成とは。一夫多妻、多夫多妻、それとも一妻多夫? 父系、あるいは母系?
サルからヒトは何をもらい、何を捨てたのかを考えます──サル学の冒険。
目次
はじめに
──なぜいま、〝ふつう〟のサルから人類の起源と進化を探るのか
サル学の現場から① 野外研究とセレンディピティ
第1章 ニホンザルの社会行動の文化
サル学の現場から② ニホンザルの稀な行動
第2章 ヒトの社会の起源とその進化
サル学の現場から③ 金華山A群第一位オス・キヨシロウの移出
第3章 ヒトの長肢化の選択圧──平行進化
サル学の現場から④ 発展途上国の僻地での暮らし
著者紹介
中川尚史(なかがわ・なおふみ)
1960年大阪府生まれ.京都大学大学院理学研究科教授.理学博士. 金華山や屋久島のニホンザル, アフリカ・サバンナのパタスモンキーを研究する. 2015年春, ニホンザルの抱擁行動を紹介し, 話題となった. 著書,『サルの食卓──採食生態学入門』(1994),『食べる速さの生態学──サルたちの採食戦略』(1999),『カメルーン・トラブル紀行』(2003),『サバンナを駆けるサル──パタスモンキーの生態と社会』(2007)ほかがある.