生き生きと越境する思想の秘密、評伝「チベット仏教と近代のはざまで」
辻村優英
ダライ・ラマ
共苦の思想
2016年3月25日刊行
本体定価2800円四六判・上製266頁
ISBN978-4-906791-55-2 C0015
■ 西洋近代の思想と、仏教の底深い伝統とが、強烈な個性の上で出会った。指導者として亡国の運命を担いつつ、世界に向けて非戦と平和をエネルギッシュに訴え続ける、その根拠とは何か。
■ 仏教において育まれた民主と自由への願い、そして資本主義を超える交換の論理……これらの根には共苦(ニンジェ)という、徹底した平等と共生の土台があった。
■ 生き方のもう一つの道筋と、生きた行動原理を探すために。
目次
はじめに 「共苦」と近代──ダライ・ラマ思想の源泉
第1章 ダライ・ラマ十四世とは誰か?
第2章 共苦の宗教思想
第3章 共苦の政治思想
第4章 共苦と科学思想
第5章 共苦の環境思想(自然・社会)
第6章 共苦の贈与論
第7章 共苦の応答
終章 理想と現実のはざまで──欲望・自由、そして共苦
著者紹介
辻村優英(つじむら・まさひで)
1980年奈良県生まれ. 京都大学博士(人間・環境学). 専門は宗教学. 総合地球環境学研究所技術補佐員, 京都大学人文科学研究所共同研究員, 京都大学こころの未来研究センター共同研究員, 立命館APU非常勤講師, 神戸大学経済経営研究所助教等を経て, 神戸大学経済経営研究所ジュニアリサーチフェロー, 高野山大学密教文化研究所受託研究員. 論文に「ダライ・ラマ14世における『最大多数の最大幸福』について」(『宗教と倫理』15 号, 2015年),“The Politics of ‘Compassion' of the Fourteenth Dalai Lama: Between ‘Religion' and ‘Secularism'”, Journal of Buddhist Ethics, vol. 21, 2014など.