時間と死──不在と無のあいだで

書下し・死の意味を抜く、哲学の挑戦

 

 

時間と死──不在と無のあいだで

 

 

中島義道  

 

 

 

 

2016年1021日刊行四六判・210本体定価2300ISBN978-4-906791-62-0 C0010

 

──七歳のころから「私(ぼく)が死ぬとしたら人生には何の意味もない」という叫び声が私の体内に響いていた。          (「はじめに」より)

 

そこにあると思っている客観的世界も、流れてやまないと信じられている時間も、「不在」なのではないか──常識の骨組みを、一つ一つ抜き去ってきた哲学者が、ついに「私」の死の問題に挑戦する。

 

客観的な世界が仮象なら、死は世界からの消滅ではない。死とは、不在から無への転換、不在である「私」がほとんど失うもののない転換なのだ。

目次

第1章      時間と「時間」という概念

第2章      過去が「もうない」とはいかなることか?

第3章      現在が「ある」とはいかなることか?

第4章      未来は「まだない」のか?

 

第5章      「私」の死

著者紹介

中島義道(なかじま・よしみち)

 

1946年生まれ. 東京大学法学部卒. 同大学院人文科学研究科修士課程修了. ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士). 電気通信大学教授を経て, 現在は哲学塾主宰. 著書に, 『時間を哲学する──過去はどこへ行ったのか』(講談社現代新書), 『哲学の教科書』(講談社学術文庫), 『時間論』(ちくま学芸文庫), 『死を哲学する』(岩波書店), 『生き生きした過去──大森荘蔵の時間論, その批判的解説』(河出書房新社), 『不在の哲学』(ちくま学芸文庫)など