世界を組み替えるモノ派の冒険、〈もの〉づくり半世紀のドキュメント
世界を〈放置〉する──ものと場の思考集成
菅 木志雄
11月24日刊行 A5変型判・368頁 本体定価4300円 ISBN978-4-906791-63-7 C1070
■ 1960年末、美は額縁はおろか美術館にさえ収まらず、都市景観の中に流出し始めた。その動向=モノ派を主導し、今日に至る作品行為をとおして、現代美術の太い潮流にまで育てあげた作家の、「ものと場」をめぐる思考の集大成。
■ 〈もの〉は、道具の手前に、商品である以前に、在る。その在り方は、私たちの意識を喚起し、むしろ包み込む場所の消息を伝えている……木に目がなり、石に意識が宿るかのように。四十数年にわたって「つくり」つつ、傍らに吐息のように紡がれた思索、その切っ先は存在論や、禅仏教の見性と切り結ぶ。
目次
序 章 はじまりの無限
1 無限
2 無名性
3 界面と縁
第一章 場所 ものの一歩手前
1 樹間の位置
2 水に宿る月
3 場の現成
4 場の論理 アースワークによせて
5 場と空
第二章 界面周航
1 リアリティへの旅
2 アクティヴェーション考
3 周囲考
4 素材論 周囲に沿って、モノは渡る
5 内と外の界面 周辺を束ねて、界端を開く
第三章 見えないものを
1 見えない世界
2 差異と全体
3 次元のすき間
終 章 つくる
著者紹介
菅 木志雄(すが・きしお)
1944年, 岩手県盛岡市生まれ. 1968年, 多摩美術大学絵画科卒業. 在学中の67年, 第11回シェル美術賞展一等賞(第一席)受賞. 69年, 『美術手帖』が募集した「芸術評論」に応募し, 佳作入選. この年, 詩人・小説家の富岡多惠子と結婚. 70年, 第5回ジャパン・アートフェスティバル大賞受賞. 82−89年, 多摩美術大学講師を務める. 94年, 静岡県伊東市十足にスタジオを設ける. 99年, 映画『存在と殺人』(監督・脚本)を制作(横浜美術館). 2000年, 小説『渡海鳴鳥』(講談社)刊行. 2012年11月, Blum & Poeギャラリーにて, アメリカで初めての個展. 2014
年11月, ヴァンジ彫刻庭園美術館, 2015年1月, 東京都現代美術館にて, それぞれ個展開催.