『老子』の道は、勝ったのか、敗れたのか
老子と上天――神観念のダイナミズム
浅野裕一
12月20日刊行 ISBN978-4-906791-64-4 C1014
四六判・272頁 本体定価3400円
■ 天空の超越神、上天・上帝と、闇に潜む鬼神たち、そして老子の「道」─
─中国四千年を貫く神々の闘争を描く。為政者の神と民衆の神、人格神が象徴 する男性原理と無形の創造神が持つ母性原理、これらの闘争と融合と交替の劇が 精神史に刻んだものとは何か。
■ 諸思潮が混淆する古代中国の思想地図に、くっきりと航跡を残す老子・黄
老・道教の系譜。宇宙生成神話を持ち、自然と無為を説くその特異な思想は、
何を起源とし、どんな運命をたどったのか。暗黒の地母神として出現した 「道」の挑戦は、勝ったのか、敗れたのか。
目次
はじめに 砂漠の一神教と上天・上帝信仰
第Ⅰ部 上天と鬼神──勝者の神と敗者の神
第1章 唯一の神の発生
第2章 鬼神は民衆の守護神
第3章 災異思想の変遷
第4章 民神の反抗
第Ⅱ部 『老子』の道の出現
第5章 『老子』の成立時期と作者
第6章 道と上天・上帝との相違
第7章 宇宙生成論の並立
第8章 宇宙生成論の淵源
第Ⅲ部 神々の闘い──老子・黄老道・道教
第9章 中原への伝播
第10章 秦帝国の法術的支配
第11章 黄老から儒教へ
第12章 道教と老子
著者紹介
浅野裕一(あさの・ゆういち)
1946年, 仙台市生まれ. 東北大学名誉教授. 中国哲学専攻. 『黄老道の成立と展開』(創文社), 『孫子』『諸子百家』(以上, 講談社学術文庫), 『孔子神話』『古代中国の言語哲学』『古代中国の文明観──儒家・墨家・道家の論争』『古代中国の宇宙論』(以上, 岩波書店,), 『『甲陽軍鑑』の悲劇──闇に葬られた信玄の兵書』(共著, ぷねうま舎)ほか.