これが破滅的な世界戦争を控えた、20世紀という時代の始まりだった
アルフレート・デブリーン
ベルリン アレクサンダー広場
フランツ・ビーバーコプフの物語
小島 基 訳
2017年1月25日刊行 ISBN978-4-906791-65-1 C0097
A5変型判・544頁 本体4500円(税別)
ジョイス『ユリシーズ』やムージル『特性のない男』と並び称される大長編の画期的新訳。ナチスの足音が聞こえる、ヴァイマール期ベルリンの下層社会を舞台に、一人の男の没落と死、そして再生を描く大都市小説。モンタージュという前衛的な手法をもって分厚く編み上げられた精神の現実、「赦し」とは何か。
訳者自身の青春の言語であった川崎・鶴見周辺の方言を駆使して、盗賊や娼婦たちがうごめく猥雑な都市空間を生き生きと立ち上がらせる。
著者紹介
アルフレート・デブリーン
1878-1957年. シュテティーン生まれのユダヤ系ドイツ人. ベルリン東地区で貧しい労働者を対象に開業医を営む. 1916年に, 中国18世紀の革命運動を描いた
『王倫の三跳躍』を出版. 同年, フォンターネ賞を受賞. 一躍脚光を浴びる. 1929年, 『ベルリン アレクサンダー広場』を出版. ナチスが政権を取って後の1940年, アメリカに亡命する. 亡命中の41年, ユダヤ教からキリスト教に改宗. 46年, ドイツに帰国. 70年代初頭から、その文学の斬新さと時代の要請から注目され始め, 今日では現代ドイツ文学を語る際に欠くことのできない存在となった. またとりわけ近年, 再評価の機運が高まっている. 他の邦訳書は, 『ハムレット──あるいはながき夜は終りて』(早崎守俊訳, 筑摩書房, 70年), 『二人の女と毒殺事件』(小島基訳, 白水社, 89年), 『王倫の三跳躍』(小島基訳, 白水社, 91年), 『ポーランド紀行』(岸本雅之訳, 鳥影社, 2007年)などが出版されている.
訳者紹介
小島 基(こじま・はじめ)
1942年, 生まれ. 現在, 広島大学名誉教授. 71年, 当時の西ドイツ, ヴュルツブルク大学哲学科修了(哲学博士号取得). 78年, 広島大学に就任, 2005年, 定年退官まで勤務.