護憲派の欺瞞、改憲派の虚妄──いま、憲法を考えるとは。
井上達夫×香山リカ
憲法の裏側 明日の日本は……
2017年12月25日刊行 四六判・216頁 本体1800円
ISBN978-4-906791-76-7 C0031
憲法をまっとうに考えるための場所を開こう。自由と平和と民主主義のための、戦後的価値の実現に近づくための「改憲」はありうるのか。憲法論議に多角的に光を投げる。
香山 憲法九条もその一つですが、理屈を超えた津波のような現象の中で、戦争への傾斜に歯止めをかけようとした、戦後的なるものの象徴が失われつつある。
井上 戦後的自明性を崩壊させるものに対して対抗しようと思ったら、対抗的価値として自分たちの改正案を打ち立てなければ、自明性を掘り崩す側にやられっぱなしになります。
目次
プロローグ 戦後的価値はどこへいった? 香山リカ
第1章 戦後的自明性の崩壊
第2章 普遍的な規範とは──正義論講義
第3章 ヘイトスピーチと言論の自由
第4章 ガラス細工の心と社会
第5章 なんのための改憲か
エピローグ 戦略的凍結は腐敗への道 井上達夫
著者紹介
井上達夫(いのうえ・たつお)
原理的なリベラリズムの立場に立って、憲法問題から政局まで、鋭く切り込む。1954年生まれ。専攻、法学。東京大学法学部教授。『他者への自由──公共性の哲学としてのリベラリズム』『普遍の再生』『世界正義論』『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください──井上達夫の法哲学入門』『ザ・議論! 「リベラルVS保守」究極対決』(共著、小林よしのり)ほか。
香山リカ(かやま・りか)
たくましいリベラルとして、右傾化する政治状況から現代社会の病理まで、メスをふるう行動派知識人。1960年生まれ。精神科医。立教大学現代心理学部教授。『若者の法則』『ぷちナショナリズム症候群 若者たちのニッポン主義』『生きてるだけでいいんです。』『弱者はもう救われないのか』『「悩み」の正体』『リベラルじゃダメですか?』ほか、著書多数。