現代の語り物、創作「水の物語」
現代説経集
姜 信子
2018年4月25日刊行 本体2300円 四六判 224頁 上製 ISBN978-4-906791-80-4 C0093
説経節から浪曲まで、〈声〉に担われた語り物の流れを現代へとつなぐ、創作「水の物語」。
一引き引けば千僧供養、二引き引けば万僧供養……説経「小栗判官」「さんせう太夫」「愛護の若」、八百比丘尼伝説、そして近代の浪曲とパンソリへ。
声は命を乗せて、死者たちへ、そして未来へと流れる。水は自他の境も、国境も越える。
私は水のアナーキスト、虐げられ、虐殺された無数の死者たちの魂をカタル者、言語と制度の檻を破って、命の流れを明日へと解き放つ巫女。 【挿画・坂本大三郎】
目次
はじまりはじまり 狂っちまえよ、と影が言う
なもあみだんぶーさんせうだゆう
こよなく愛する 「説経 愛護の若」異聞
恨九百九十九年
旅するカタリ 八百比丘尼の話
かもめ組創成記 千年の語りの道をゆく
─┼放浪かもめと澤村豊子──
かもめ組資料 上演台本
著者紹介
姜 信子
1961年横浜市生まれ. 作家. 85年, 東京大学法学部卒業. 86年に「ごく普通の在日韓国人」でノンフィクション朝日ジャーナル賞受賞. 著書に, 『ごく普通の在日韓国人』(朝日新聞社), 『ナミイ! 八重山のおばあの歌物語』『イリオモテ』(岩波書店), 『棄郷ノート』(作品社, 熊本日日新聞文学賞受賞), 『追放の高麗人』(石風社, 地方出版文化功労賞受賞), 『はじまれ 犀の角問わず語り』(サウダージ・ブックス+港の人), 『生きとし生ける空白の物語』(港の人), 『声 千年先に届くほどに』『妄犬日記』(ぷねうま舎), 『はじまりはじまりはじまり』(羽鳥書店)などがある.