没後百年記念出版。禅、世界伝播への端緒を開いた高僧の破天荒な足跡。
釈宗演と明治 ZEN初めて海を渡る
中島美千代
2018年5月25日刊行 四六判・上製 272頁
本体2800円 ISBN978-4-906791-81-1 C0014
仏教東漸(東方から太平洋を渡る)の夢、ここにも明治の世界構想があった。
鈴木大拙、西田幾多郎の師にして、漱石参禅の導師……明治期禅文化の中心にいた高僧の破天荒な足跡を追って。
禅堂から、周囲の抵抗を押し切って慶應義塾の福澤諭吉の懐へ、日本を出奔して小乗仏教の地セイロンへ。そして円覚寺派管長就任後はシカゴ万国宗教会議において日本仏教を代表して大演説をぶつ。
この度外れな情念と行動力は得悟の力なのか、それとも明治のエートスともいうべき精神の磁場から汲まれたものなのか。
目次
はじめに
序 章 ふるさと若狭高浜
──青葉山と白い砂浜の町
第一章 出家
──雛僧が修行を終えるまで
第二章 慶應義塾で洋学を学ぶ
──仏教の革新をめざして
第三章 セイロン遊学
──孤独と貧困と絶望と
第四章 管長就任
──任重くして才無く……
第五章 シカゴ万国宗教会議
──初めての海外布教
第六章 欧米布教
──再びのアメリカとインド仏跡礼拝
第七章 南船北馬
──布教伝道と第二の人生
終 章 ZENは世界へ
──弟子たちの苦難の道は遠く
著者紹介
中島美千代(なかじま・みちよ)
福井県福井市に生まれる.
著書:短詩型評論『おんなの詩小箱』草苺叢書第7編(草苺短歌会, 1994), 『青木繁と画の中の女』(TBSブリタニカ, 1998), 『夭折の歌人 中城ふみ子』(勉成出版, 2004).