哲学と現代思想の最後のフロンティア、死と死者の領域を考える
冥顕の哲学1 死者と菩薩の倫理学
末木文美士
本体価格2600円 四六判282頁 上製
ISBN978-4-906791-97-2 C0010
■ 人の間の公共性の領域〈顕〉に対して、不可知の霧に包まれた〈冥〉という場所、そこには他者、死者そして神仏が息づく。日本の中世思想に由来する「冥顕」の構造をもって、現代の哲学的・思想的な閉塞状況に立ち向かう「死者の哲学」と「菩薩の倫理学」。
■ 仏教学から出発し、日本思想史の壮大な流れに立つ著者が、生を導く普遍的な価値を再生しようとした四半世紀にわたる哲学の格闘を集成する。
姉妹編『冥顕の哲学2 いま日本から興す哲学』近刊。
目次
序 章 見えるもの、見えざるもの──顕と冥の世界観
Ⅰ 死者と冥顕の哲学
第一章 哲学としての懺悔道──田辺哲学再考1
第二章 懺悔道と親鸞──田辺哲学再考2
第三章 他者・死者と場所──西田・田辺の哲学と現代
第四章 死者と時間──時間はどこに生まれるか
Ⅱ 菩薩の倫理学へ
第五章 仏教と哲学
第六章 宗教間対話を可能にする理論を求めて
第七章 哲学・神学から仏教へ
第八章 伝統思想から菩薩の倫理学へ
第九章 菩薩の倫理学
終 章 苦闘する哲学──私性からの出発
著者紹介
末木文美士(すえき・ふみひこ)
1949年生まれ. 1973年, 東京大学文学部印度哲学専修課程卒業、1978年同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学. 東京大学文学部・人文社会系研究科教授を経て、国際日本文化研究センター教授]、総合研究大学院大学文化科学研究科国際日本研究専攻教授併任。現在, 東京大学, 総合研究大学院大学名誉教授.
著書:『解体する言葉と世界──仏教からの挑戦』(岩波書店, 1998), 『「碧巌録」を読む』(岩波書店, 98)『明治思想家論──近代日本の思想・再考 Ⅰ』『近代日本と仏教──近代日本の思想・再考Ⅱ』(トランスビュー2004)『他者/死者/私──哲学と宗教のレッスン』(岩波書店, 2007), 『仏典を読む──死から始まる仏教史』(新潮社, 2009), 『哲学の現場──日本で考えるということ』(トランスビュー, 2012), 『草木成仏の思想──安然と日本人の自然観』(サンガ, 2015)ほか多数。