AI万能幻想に抗して──知覚論から、「生きてある」ことの哲学へ
味わいの現象学
知覚経験のマルチモダリティ
村田純一
2019年3月5四六判・上製 340頁 本体3400円
ISBN978-4-906791-99-6 C0010
「味わう」、この日々のシンプルにして多様な経験を、言葉で追跡するとどんなことになるのか。味覚、嗅覚、触覚、視覚をはじめ、あらゆる感覚が参加する、その複合的な体験の記述は、時として逆説にすら当面させることになる。リアルということの真実に迫る、現象学的記述の冒険。
世界に住み込む。「生きてある」ことは、限りなく複合的で多元的な、分厚い体験の層を土台としている。そこには、身体から第六感まで動員しての、神秘的ですらあるリアリティの劇場があるのだ。「脳」が考え、「意識」が生きているのではない。「生」の現象学という永遠のテーマへ。
目次
序 章 味わうという多元的で相互浸透的な経験
第1章 知覚のマルチモダリティ
第2章 感覚のスペクトル
第3章 味わいの経験
第4章 匂いの世界
第5章 色と音
第6章 触覚と痛み
終 章 世界に住み込むということ
著者紹介
村田純一(むらた・じゅんいち)
1948年生まれ. 専攻, 現象学, 知覚論, 科学哲学. 現在, 立正大学文学部哲学科教授, 東京大学名誉教授. 著書 : 『知覚と生活世界──知の現象学的理論』(東京大学出版会, 1995), 『色彩の哲学』『「わたし」を探険する』(岩波書店, 2002, 2007)ほか.