脳の神経組織からマイクロファイナンスまで──人間像の更新のために
思いやりの経済学
ダライ・ラマ14世と先端科学・経済学者たち
マチウ・リカール/タニア・シンガー 編 辻村優英 訳
2019年6月25日刊行 本体2500円
四六判・並製 272頁 978-4-906791- 88-0 C0033
ケアする経済学、他者を思いやり、社会に幸福をもたらすことに基盤を置く経済倫理は、果たして成り立つのか。ダライ・ラマ14世と、脳科学、認知心理学、霊長類学、人類学、そして経済学と経営学など、今日の先端に立つ科学者たちが対話する。
グローバリゼーションのもと、格差の拡大とポピュリズムが浸透したこの世界に、コンパッション(他者が苦から離れるようにとの思い共苦)に根をもつ行動原則と規範を打ち立てるために。脳の神経組織からマイクロファイナンスまで、競争原理を超える人間像と社会像を提示する。
目次
序 思いやりの経済学に向けて
I 利他と向社会的行動に関する科学的研究
第1章 利己-利他論争
第2章 共感と内受容性皮質
第3章 コンパッションの神経基盤
第4章 利他に関する仏教的観点
第5章 生存のための生物学的要求
II 利他と向社会的行動に関する経済学的研究
第6章 社会的ジレンマ実験
第7章 仏教経済学事始め
第8章 幸福の経済学
第9章 なぜ人々は慈善活動をするのか
第10章 利他的懲罰と公共財の創出
III 経済システムへの向社会性の導入
第11章 目的のある利益
第12章 マイクロファイナンスは何を為し得るか?
第13章 ベアフット・カレッジ
第14章 コンパッションに満ちたリーダーシップ
結 語 コンパッションは贅沢品ではない