書き下ろし・「日常」と「常識」の再生へ
虹と空の存在論
飯田 隆
2019年11月25日刊行 本体価格2300円
46判・上製 240頁 ISBN9784906791934C0010
虹と空、それは「もの」なのか、それとも出来事なのか。馴染んだ現象でもなく、仮象でもないとすれば、その存在についてどのように語ればよいのか。神話の語り口から現代科学の知見まで、あらゆる領域を遊動しつつ、未知の思考の次元を拓こうとする。
認識論、知覚論、存在論……既存の枠組みを揺さぶる哲学、著者の師、大森荘蔵のオリジナルな方法に学びつつ、それを批判的に定位し直そうとする。それは常識をいったん破壊し、そしてさらにレヴェルを異にする「日常」のリアリティを回復する道でもあった。
存在への試行としての「科学の哲学」。
目次
Ⅰ 虹と哲学
Ⅱ 出来事としての虹
Ⅲ 虹の存在論的錯覚
Ⅳ 知覚から客観的実在へ
Ⅴ 空の存在論
著者紹介
1948年, 札幌市生まれ. 78年, 東京大学大学院人文科学研究科(哲学専攻)退学. 91年, 千葉大学文学部教授, 98年, 慶應義塾大学文学部教授, 2010年, 日本大学文理学部教授を歴任. この間, 科学基礎論学会理事長, 日本哲学会会長を務めた. 現在, 慶應義塾大学名誉教授.
著書:『言語哲学大全』Ⅰ−Ⅳ(勁草書房, 1987-2002), 『ウィトゲンシュタイン──言語の限界』(講談社, 1997), 『新哲学対話──ソクラテスならどう考える?』(筑摩書房, 2017), 『日本語と論理──哲学者, その謎に挑む』(NHK出版, 2019)ほか, また『ウィトゲンシュタイン読本』『知の教科書 論理の哲学』ほか編著多数。