コロナの廃墟で哲学は可能か──未来哲学双書・第3弾
無駄な死など、どこにもない
パンデミックと向きあう哲学
山内志朗
2021年6月25日刊行 四六判・並製 256頁
本体1800円 ISBN978-4-910154-21-3 C0010
不慮の死に見舞われたコロナ禍の死者たちに捧げる、哲学の歌「無意味な死、無駄な死など、ない」。アッシジのフランチェスコの「太陽の歌」とロシアの宇宙主義者フョードロフの復活の夢、ドゥンス・スコトゥスの「存在の海」とベンヤミンの「新しい天使」、そして『エヴァンゲリオン』の「甘き死」……死を終末であり、無意味な断絶ととらえるのは、近代の幻影ではなかったか。その虚無と断絶を突き抜け、未来に向けて「風」を吹き通すための、祈りと歌とヴィジョン。「人は無駄に死ぬことなどできはしないのです」。
目次
はじめに 死とは何か
序 章 雪と重力
第一章 コロナの廃墟で哲学は可能か
第二章 人はなぜ死ぬのか
第三章 言葉と肉体と風
第四章 死者と共に住む村
第五章 死の表象の変容
第六章 〈今〉を舞い続けるものとしての生
終 章 断末魔の苦しみも、無駄に経験されるのではない
東方的なるものと湯殿山││二つの対話
著者紹介
山内志朗(やまうち・しろう)
1957年生まれ. 専攻, 中世哲学. 東京大学大学院博士課程単位取得. 新潟大学人文学部教授を経て, 現在, 慶應義塾大学文学部教授. 著書に, 『普遍論争──近代の源流としての』(哲学書房, 1992), 『天使の記号学』(岩波書店, 2001), 『ライプニッツ──なぜ私は世界にひとりしかいないのか』(NHK出版, 2003), 『笑いと哲学の微妙な関係──25のコメディーと古典朗読つき哲学饗宴』(哲学書房, 2005),『〈冗長さ〉が大切です』(岩波書店, 2007), 『〈つまづき〉の中の哲学』(NHK出版, 2007), 『存在の一義性を求めて──ドゥンス・スコトゥスと13世紀の〈知〉の革命』(岩波書店, 2011),『「誤読」の哲学──ドゥルーズ、フーコーから中世哲学へ』(青土社, 2013), 『小さな倫理学入門』(慶應義塾大学出版会, 2015),『感じるスコラ哲学 存在と神を味わった中世』(慶應義塾大学出版会, 2016), 『湯殿山の哲学──修験と花と存在と』(ぷねうま舎, 2017)ほかがある.