東洋哲学の詩的・象徴的定礎のために──未来哲学双書創刊・第四弾。
東洋哲学序説 西田幾多郎と双面性
西平 直
8月25日刊行予定 四六判・並製 228頁
本体2300円ISBN978-4-910154-23-7 C0010
東洋の論理と西洋の論理のはざまで、独自の思考の筋道を拓いた西田の格闘、その今日的な意義を、井筒俊彦の華厳哲学理解と重ねつつ、あらためて定位しようとする。
個物と一般者、一と多、現象と実在、これら二項の分離できず、一体ともなしえない矛盾をはらんだ双面的事態……実在にいたらんとする思考の運動に伴走し、それを内側から名づけようとする東洋的思考の現象学。
好評既刊『東洋哲学序説 井筒俊彦と二重の見』姉妹編。
目次
序 章 「東洋的世界観の論理」
Ⅰ 西田哲学と「事事無礙」──井筒俊彦の華厳哲学理解を介して
第一節 後期西田哲学と華厳思想
第二節 華厳の「事事無礙」──井筒俊彦の華厳哲学理解
第三節 後期西田の「個物E」「一般者A」「媒介者M」
──図式的説明を手がかりとして
第四節 弁証法的一般者としての世界
──後期西田の「個物」と華厳の「同体の論理」
Ⅱ 西田哲学と『大乗起信論』││井筒俊彦『意識の形而上学』を介して
第一章 「起信論一巻読了」の意味──論文「実在に就いて」に至るまで
第二章 明治期哲学と論文「実在に就いて」──『起信論』との関係
第三章 『起信論』と「双面性(非一非異)」
──井筒俊彦『意識の形而上学』を手がかりとして
第四章 「絶対即相対」の論理と『起信論』
──「離言真如(語り得ぬこと)」と「依言真如(語り得ること)」、および「逆対応」
著者紹介
西平 直(にしひら・ただし)
1957年生まれ. 専攻, 教育人間学, 宗教心理学, 死生学, 哲学. 現在, 京都大学教育学研究科教授.
著書,『エリクソンの人間学』(1993), 『魂のライフサイクル──ユング・ウィルバー・シュタイナー』(97), 『教育人間学のために』(2005), 『世阿弥の稽古哲学』(2009, 以上, 東京大学出版会), 『無心のダイナミズム──「しなやかさ」の系譜』(岩波現代全書, 2014), 『誕生のインファンティア』(みすず書房, 15), 『稽古の思想』(2019), 『修養の思想』(2020), 『養生の思想』(2021, 以上, 春秋社), 『東洋哲学序説 井筒俊彦と二重の見』(ぷねうま舎,2021)ほか.