書下し、〈世界〉というヴィジョンの博物誌。
〈世界知〉の劇場
──キルヒャーからゲーテまで
坂本貴志
9月24日刊行 四六判・並製 342頁 本体2800円ISBN978-4-910154-22-0 C0010
世界は一つか複数か、天国と地獄の垂直軸に沿って構想されるべきか、それとも次元を異にする複数の拡がりとしてイメージされるべきか。
キルヒャーの『忘我の旅』からゲーテの『ファウスト』まで、古代神学=永遠の哲学と、世界の複数性のはざまで揺れ動いた九人の思想家たちをめぐる、世界というヴィジョンの博物誌。
中世から近代の始まりへ、真空、自然法、無限の時空など、新たな問題を前にしたそれぞれの身振りと姿態は、人類と地球の全史が問われ、再びの転回が課題となる今日、多くの手がかりを与えてくれるに違いない。
目次
序 章 対蹠人 パウルス三世
第一章 中国のイシス アタナシウス・キルヒャー
第二章 マクデブルクの半球 オットー・ゲーリケ
第三章 「いずこも同じ!」 ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ
第四章 理性の自律 二人のクリスティアン
第五章 〈世界知〉 ヨーハン・クリストフ・ゴットシェート
第六章 無限 アルブレヒト・ハラー
第七章 普遍自然史 イマヌエル・カント
第八章 有機的な力 ヨーハン・ゴットフリート・ヘルダー
第九章 メタモルフォーゼ ヨーハン・ヴォルフガング・ゲーテ
終 章 〈世界知〉の系譜学
著者紹介
坂本貴志(さかもと・たかし)
1969年生まれ. 専攻, ドイツ文学. 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了. 博士(文学). 現在, 立教大学文学部教授.
主要著作:「崇高による自由の理念の救出と歴史哲学──シラーの三部作悲劇『ヴァレンシュタイン』」(2003), 「異界の系譜──ハウプトマンと鏡花」(2008),「ドイツ近代におけるイシス幻想について──シラー、ゲーテ、アレクサンダー・フォン・フンボルト」(2010),「『非物質的世界のひとつの巨大な総体』というトポス──キリスト教カバラ, 動物磁気, 集合的無意識」(2011), 『秘教的伝統とドイツ近代──ヘルメス, オルフェウス, ピュタゴラスノ文化史的変奏』(2014)ほか.