終末の起源

いま、私たちが住み込んでいる、終わりのある時間の枠組みは、いつ、どこで、つくられたのだろう。

 

 

終末の起源 二つの系譜 創造論と終末論

 

上村 静

 

 

11月25日刊行 本体2500円 四六判・上製 256頁 ISBN978-4-910154-27-5 C0016

 

 

 終末に向けて直進する時間と、いま・ここで、そのつど創造され続ける時間──二つの時間意識の生成と交錯のドラマを追って、古代ユダヤ教とその周辺の諸文書を旅する。原初史物語から黙示文学まで、死海文書からグノーシス文書まで、そしてキリスト教の成立と、イエスとパウロをめぐって、世界像創出のシナリオを描く。

 

 来世願望へと導くこの現実への呪いか、予定調和を破壊する知恵と罪の発見か。終末論と創造論の系譜を、キリスト教を生んだ壮大な文書の海を背景に浮かび上がらせる。人間の学としての聖書学の達成。

目次

 

Ⅰ 古代ユダヤ教における二つの思想潮流

    ──創造論と終末論

第1章       聖書と聖書学

第2章       預言者とモーセ五書の思想系譜

第3章      創造論の系譜

第4章       終末論の系譜──預言者、知恵文学、黙示思想

Ⅱ グノーシス主義誕生のユダヤ思想史的・時代史的背景

    ──神義論の系譜と三度の対ローマ戦争

第5章     ローマ時代のユダヤ思想

第6章       セクト運動

第7章       ユダヤ人が創造神を憎悪する出来事

Ⅲ イエスとパウロ

    ──創造論と終末論

第8章     イエス

 

第9章       パウロ

著者紹介

上村 静(うえむら・しずか)

1966年生まれ. 専攻, ユダヤ学, 聖書学, 宗教学. 94-98, ヘブライ大学に留学. 2000, 東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻宗教学宗教史学専門分野満期退学. 2005Ph.D.取得(ヘブライ大学). 現在, 尚絅学院大学教授, 死海文書翻訳プロジェクト編集委員(全12, 既刊7, ぷねうま舎).

 

著書,宗教の倒錯──ユダヤ教・イエス・キリスト教』(岩波書店,2008, 『旧約聖書と新約聖書──「聖書」とはなにか』, 『キリスト教の自己批判──明日の福音のために』,国家の論理といのちの倫理──現代社会の共同幻想と聖書の読み直し』編著(新教出版社, 2011,13, 14.