遺稿焼却問題 哲学日記2014-2021
永井 均
2022年1月25日刊行 46判・260頁 本体1800円 ISBN978-4-910154-29-9 C0010
日日の思索と対話──左に跳び、右にはずれ、斜めにひねり、裏をゆく。
LGBT、神の苦悩の告白としてのキリスト、演技としての人生、遺稿焼却としてのアイドル引退…。いよいよ明るくなりまさる思考のステップ、この陽だまりの意味とは何だろう。われ歌う、われ躍る、われ日日に思う、ゆえに……。
足かけ七年にわたるツィートの海に、やがて浮かび上がる思考の海路図。
いくつもの渦の中心に永井哲学の核心が見えてくる。
【近刊・姉妹篇『 独自成類的人間──哲学日2014-2021』】
とてつもなく崇高(恐怖を伴うほど)でありうるのは自分で焼却する場合 だろう。(⋯)「世界の中心」が盗まれるような不安を感じるのは、原理的に 誰にも知られえないから、だ。しかしorだから、とてつもなく崇高な事柄はじつはありふれており、 世界の中心はじつはしばしば盗まれている のかもしれない。――本書16頁 アイドル、トランスジェンダー、反出生主義⋯
目次
01 遺稿焼却問題
02 超越論的なんちゃってビリティ
03 神はこの私に何を求めているのか
04 紅葉する犬
05 ただ音楽だけは希望の度合いで……
06 しっぽは犬を振れない
著者紹介
永井 均(ながい・ひとし)
1951年生まれ. 専攻, 哲学・倫理学. 慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位所得. 現在, 日本大学文理学部教授.
著作に, 『〈私〉の存在の比類なさ』(勁草書房, のち講談社学術文庫), 『翔太と猫のインサイトの夏休み──哲学的諸問題へのいざない』(ナカニシヤ出版, のちちくま学芸文庫), 『これがニーチェだ』(講談社現代新書), 『マンガは哲学する』(講談社, のち岩波現代文庫), 『転校生とブラックジャック──独在性をめぐるセミナー』(岩波書店, のち岩波現代文庫), 『倫理とは何か──猫のインサイトの挑戦』(産業図書, のちちくま学芸文庫), 『私・今・そして神──開闢の哲学』(講談社現代新書), 『西田幾多郎──〈絶対無〉とは何か』(NHK出版), 『なぜ意識は実在しないのか』(岩波書店), 『ウィトゲンシュタインの誤診──『青色本』を掘り崩す』(ナカニシヤ出版), 『哲学の密かな闘い』(ぷねうま舎), 『存在と時間──哲学探究1』(文藝春秋), 『世界の独在論的存在構造──哲学探究2』(春秋社)ほかがある.