「なぜ生きなければいけないの?」
かつて自ら死を望んだノンフィクション作家の、心震える小説処女作。
臆病な僕らは幸福を病んで
咲 セリ 作 在り 絵
3月25日刊行 ISBN978-4-910154-30-5 C0093
四六判・並製 194頁 本体1800円
命の漂流を続ける29歳の女性と、自分を消そうとする16歳の青年との死に向かう出会い──。家族の愛に恵まれず、職場でいじめを受けたり、若くしてギャンブル依存に苦しんだりと、この世の片隅でじっと息をするような魂の痛みが、ある事件をきっかけに、絶望の底から彼らを反転させる。崇高なる〈墜落〉と、切なくも優しい〈本当の祈り〉。猫をはさんで、〈家族〉になる──生と死のはざまで奏でる、いのちの歌。
目次
プロローグ
自殺までの共同生活
希死念慮がくれたもの
八歳だった入水自殺
最期のおでん
終わりを求めるとき
しあわせの余命
エピローグ
著者紹介
1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生きていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。
主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)などがある。