事故か、傷害事件か……崖っぷちで祈る、望みがないのに前をむく。もはや、「絶滅」は避けられないのか。書き下ろし中篇。
絶滅未満
生きづらさのむこうへ
咲 セリ
10月25日刊行 四六判・上製 216頁
本体2000円 ISBN978-4-910154-37-4 C0093
人の生の奥底を照らす光を求めて。障がいを抱える者たちが、身を寄せ合って「希望」を育むサークル、そこで起きた謎の事件を追って。手をつなぐこと願い、共感を手にしたことから生まれた殺傷事件、愛ゆえの暴力と生き抜くことの不条理……そのあまりに人間的なヒダを描く。生きづらさのむこうへ、二つの物語への招待、「蜂蜜と遠吠え」「ただしいクローバー」。
目次
蜂蜜と遠吠え ただしいクローバー
こころを演じる 熟れてない愛
裸足の捨て猫 自分のもの、ひとのもの
生き抜いた、いじめ 「しあわせな家族」へ
死にたい病 白い夢
遠くに見える愛 ちぎれていく四葉に
贖罪を歌って やわらかい声のうえ
笑いと障がい
リアルのゆきつく先
生きづらさの同窓会
羽ばたく
著者紹介
咲 セリ(さき・せり)
1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生きていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。
主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)、小説三部作『臆病な僕らは幸福を病んで』『永遠をひろって』『ミジンコはわらった』(ぷねうま舎)などがある。