そうか、いのちを賭けた真実は、言葉の裏側にあるんだ
──哲学史に据えられた虚像を超えて
てってい的にキルケゴール
その2 私が私であることの深淵に
中島義道 著
2023年2月24日刊行 四六判・並製 256頁ISBN978-4-910154-41-1 C0010 本体2400円
主著『死にいたる病』と《てってい的に》付き合うこと、それは、青春を呼び出して、そこで生きることだった。死ではなく、永遠にいたる道、逆説でしか語りえないその歩みには、なんとユーモアが寄り添って……キルケゴールの声を聴き、それが発散する音階を聞き取る。読む者自身が、そのトーンと語調で歌ってみること、それは、底知れない逆説に耐えつつ、神と対話する道だった。
絶望とは精神の階梯、「神」に目を向けた人間の避けて通ることの許されない道程なのだ。無神論やニヒリズムの祖型の一つとされ、実存哲学の源に据えられた思想家像の虚構性を問う。『死にいたる病』のすべての行文に耳を澄ます、中島=キルケゴールの思考のドキュメント。
目次
その二 目次
第四章 イロニーの精神と反抗
──〔Cこの病(絶望)の諸形態〕
一 絶望の階梯
二 自己のなかの永遠なもの
三 絶望と地上的なもの
四 直接性の生態
五 イロニーの精神
六 自己についての意識の上昇
七 閉じ籠もり
八 自殺と反抗
九 絶望の弁証法
一〇 反抗者の内面と外面
著者紹介
中島義道(なかじま・よしみち)
1946年生まれ. 東京大学法学部卒. 同大学院人文科学研究科修士課程修了. ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士). 電気通信大学教授を経て, 現在は哲学塾主宰. 著書に, 『時間を哲学する──過去はどこへ行ったのか』(講談社現代新書),『哲学の教科書』(講談社学術文庫), 『時間論』(ちくま学芸文庫), 『死を哲学する』(岩波書店), 『過酷なるニーチェ』(河出文庫), 『生き生きした過去──大森荘蔵の時間論, その批判的解説』(河出書房新社), 『不在の哲学』(ちくま学芸文庫)『時間と死──不在と無のあいだで』(ぷねうま舎), 『明るく死ぬための哲学』(文藝春秋), 『晩年のカント』(講談社), 『てってい的にキルケゴール その一 絶望ってなんだ』(ぷねうま舎)など.