そうか、これが、人間の極北で、神と対話するということだ──思想と《てってい的に》付き合うとは……完結篇
てってい的にキルケゴール
その3 本気で、つまずくということ
中島義道
2023年12月22日刊行 四六判・並製 376頁 本体3200円 ISBN978-4-910154-50-3 C0 010
死ではなく、永遠にいたる道、逆説でしか語りえないその歩みには、なんとユーモアが寄り添って……思想と本気で対話すること、そこでは炉辺のつぶやきのように、一筋縄では届かない本音が顔をのぞかせる。
絶望とは精神の階梯、「神」に目を向けた人間の避けて通ることの許されない道程なのだ。無神論やニヒリズムの祖型の一つとされ、実存哲学の源に据えられた思想家像の虚構性を問う。『死にいたる病』のすべての行文に耳を澄ます、中島=キルケゴールの思考のドキュメント、完結篇。
目次
第五章 無限な自己というイロニー
──〔第二篇 絶望は罪である〕
一 宗教的詩人
二 「無限な尺度」としての神
三 不服従と「つまずき」
四 神の謙虚さと「つまずき」
第六章 無知と啓示
──〔第二篇 絶望は罪である 第二章 罪のソクラテス的定義〕
一 ソクラテスの「無知の知」
二 ソクラテス的なものとキリスト教的なもの イロニーの精神
三 認識と意志
第七章 積極的なものとしての罪
──〔第三章 罪は消極的なものではなくて、積極的なものであるということ〕
一 罪は積極的なものである
二 キリスト教の逆接とソクラテスの無知
三 罪の弁証法
終 章 単独者として──〔B 罪の継続〕
一 罪のダイナミックス
二 キリストに面する自己
三 神の前における単独者
四 聖霊に逆らう罪
五 神の法廷
著者紹介
1946年生まれ. 東京大学法学部卒. 同大学院人文科学研究科修士課程修了. ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士). 電気通信大学教授を経て, 現在は哲学塾主宰. 著書に, 『時間を哲学する──過去はどこへ行ったのか』(講談社現代新書),『哲学の教科書』(講談社学術文庫), 『時間論』(ちくま学芸文庫), 『死を哲学する』(岩波書店), 『過酷なるニーチェ』(河出文庫), 『生き生きした過去──大森荘蔵の時間論, その批判的解説』(河出書房新社), 『不在の哲学』(ちくま学芸文庫)『時間と死──不在と無のあいだで』(ぷねうま舎), 『明るく死ぬための哲学』(文藝春秋), 『晩年のカント』(講談社), 『てってい的にキルケゴール その一 絶望ってなんだ』, 『てってい的にキルケゴール その二 私が私であることの深淵に絶望』(ぷねうま舎)など.